自然
枯死した木が山火事の威力を上げていた。

気候変動による樹木の死と乾燥が山火事の威力を強化させていた。

気候変動は現在、世界的に深刻な状況にある。氷河や永久凍土は融解し、海面や海水温度が上昇し、人や海洋生物の住む場所を奪い、干ばつや豪雨、山火事を起こさせ、多くの生命を奪っていく。

今までは気候変動が単に地球の定期サイクルの1つで過去にも起きた自然現象だ、と唱える者もいたが、科学者の99%以上は査読済みの科学論文で気候変動が人類によって引き越された事に同意している。

気候変動の原因はやはり人間だった!99.9%以上の科学論文が同意する真実。
地球は今、温暖化現象の最中にある。平均気温が上昇し、氷河が溶け、海面が上昇し、海水温も上昇、異常に乾燥し、異常な降雨量を記録する。 地球の気候変動は明らかだ。では、この気候変動の原因はなんだろうか。地球は過去に何度か気候変動を経験して...

今の異常気象は人類によって起こされたものといっても過言ではなく、真摯に向き合う必要がある。

そんな気候変動問題で新たな悪いニュースが報じられた。

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樹木の枯死と乾燥化が山火事を強化


ニューメキシコ大学の科学者チームによる研究で、気候変動による樹木の枯死(枯れて死ぬ事)と落ち葉など山火事の原因になる燃料の乾燥化によって山火事の規模、広がり、噴煙の形成が記録的なものとなっていることが示唆された。

北米では、気候変動の影響により山火事が増加しており、バイオマス(動植物から生まれた、再利用可能な有機性の資源)に蓄積されたエネルギーが山火事で熱として放出される量が増加している。

干ばつ、昆虫の発生、気温の上昇により、広範囲で樹木が枯れ、気温の上昇により森林燃料が乾燥し、より燃えやすくなっている。森林に蓄積されたエネルギーのうち、火災による放出に利用できる量は、生きているバイオマスや死んだバイオマスに蓄積された水の量に依存し、エネルギー放出の量と速度に調節因子として働いている。

死んだバイオマスの燃料水分は、生きたバイオマスよりも温度が上昇すると反応しやすく、火災が発生しやすい。樹木の死亡率と高温の複合効果が、現代の山火事の特徴である大幅なエネルギー放出に関与している可能性がある。

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過去30年間の燃料水分量の気候変動による変化を調査

キクイムシによる被害。(出典:Wikipedia


この研究では、気候変動による樹木の枯死と燃料の乾燥の増加を考慮し、生木と枯死木の両方の温度と燃料水分のデータを使用して、過去30年間の燃料水分量の気候変動による変化を調査した。

また、2020年の米国西部の火災で、干ばつとキクイムシの死骸、その後山火事で焼失した2つの森林から、エネルギー放出(エネルギー放出成分および火災放射エネルギー)の変化を計算した。キクイムシは非常に多様的で、森林害虫の種(例えばアメリカマツノキクイムシ)も多く存在する。

キクイムシ - Wikipedia

UNMの科学者チームを率いるゴードウィン氏とマチュー氏が行ったこの研究は、「Geophysical Research Letters」誌に掲載されている。

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負のスパイラルに


カリフォルニア州シエラネバダで発生したクリーク火災は、カリフォルニア州の近代史で5番目に大きな火災となった。一方、コロラド州ロッキー山脈のキャメロンピークでの火災は、コロラド州の歴史上最大の火災であり、焼かれた森林にはキクイムシの死骸が大量にあった。

カリフォルニアの地中海性気候の混合針葉樹林は季節的に乾燥し、コロラドのロッジポール・パイン林は冷涼で湿潤、といったように2つの森林は気候が異なるが、どちらの地域でも火災強度は燃料の水分や燃料の有無に影響される。

論文の主執筆者であるゴードウィン氏は以下のように語っている。

「私たちは、木の死亡によって、相当量のバイオマスが生のプールから死のプールに移行しているのを発見しました。気候変動による燃料含水率の低下と相まって、燃料の利用可能性が変化し、森林の山火事で熱として放出されるエネルギー量が増加したのです。これらの結果は、気候に起因する樹木の枯死と燃料の乾燥が、山火事時に放出されるエネルギー量を増加させている可能性を示しています。」

気候変動で木々を枯らし、山火事の原因を増やすばかりでなく、山火事の強化にも影響していた。山火事は更に気候変動を悪化させるもので、まさに負のスパイラルに陥っている状態だ。

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詳細データ


ゴードウィン氏は2016年からThe Teakettle Experimentのプロジェクトマネージャーを務めている。The Teakettle Experimentは、森林管理技術(規定焼却と機械的間伐)が生態系に与える影響を定量化するために、1997年に実施されましたプロジェクトで気候変動との関連も調査されている。

北米の森林では、山火事の原因となる枯れ木が大量に発生しており、樹木の枯死率は驚異的なものとなっている。シエラ国有林では、過去5年間に干ばつとキクイムシの害で推定3600万本の木が枯れた。これはシエラ国有林の木の約25%に相当する数で、各樹木の死亡率は80パーセントと推定されると報告された。

コロラド州ではロッジポール・パインの枯死率は40〜50%で、ロッジポール・パインを含むコロラド州の87%の地域、つまり約13,000㎢が枯死の影響を受けたと推定している。

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枯れた木は生きた木よりも燃えやすい


知っての通り、枯れた木は生きた木よりも燃えやすい。キクイムシなどの昆虫や干ばつによって木が生きた状態から枯れた状態になると、当然ながら水を吸い上げられなくなる。

そうすると木が水分を保持する量が減少し、より燃やしやすくなる。焚き火をするのと同じで、乾いた木は湿った木よりもよく燃える。干ばつで地中の水分も干上がっているのもこれらを後押ししている。

森林が燃える条件はすべて整っている。木々が枯死し、乾燥して森林から水分が蒸発し、枯れ葉同士の摩擦による非常に小さな火花でさえ簡単に燃え上がる。

山火事はこれからも起こり続け、威力を増し、そのたびに気候変動に悪影響をきたす。このスパイラルから抜け出す方法が一刻も早く求められる。

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参考文献

自然
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Amet

旅行が趣味の団塊ジュニア世代。旅先で歴史を学んだり遺跡を見学したりその土地の食べ物を楽しむ事をライフワークにしています。本業はテクノロジー/マーケティング関係で情報収集と分析が専門です。

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