自然
車と同等サイズの巨大ヤスデの化石が発見された。(出典:dailymail

体長2.7m、幅50cmもある3億2600万年前の超巨大ヤスデの化石が見つかる。

太古の生物は、時に化石となって我々に昔の生物の様々な事を教えてくれる。例えば恐竜。今では想像も出来ないような大きな体で大地を動き回っていたとは到底思えないが、化石がある以上事実だ。

だが、太古の巨大な生物で非常に興味深いのは3億5920万年前か~2億9900万年前の石炭紀だろう。大量絶滅したデボン紀の後で多様化した植物が広範囲に広がり、地球の酸素濃度は30%以上にまで上昇した。20%ほどである現代の1.5倍の濃度だ。

この酸素濃度がこの時代を生きる生物たちを巨大化させた。羽を広げると70cmにもなる巨大な肉食トンボのメガネウラや50㎝ほどの巨大カゲロウのような姿をしたパレオディクティオプテラ、60㎝ほどで小動物も捕食した巨大蜘蛛のメガラシネなどだ。

今までは酸素濃度による巨大化とされていたが、最近では巨大化せざるを得なかったのではないか、という説も浮上している。

古代の昆虫、巨大化の謎に新説
3億年前、現代のカモメほどの大きさの肉食トンボが我がもの顔で空を飛び回っていた。トンボをはじめ、この時代の昆虫がどうしてこのように巨大化したのかは長い間謎とされてきた。

そんな石炭紀の巨大生物に巨大ヤスデであるアルトロプレウラに、過去最大サイズの化石が見つかった。

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自動車と同じ大きさの史上最大の巨大ヤスデの化石

コンパクトカーと変わらない体長(出典:The sun


イングランド北部、ニューカッスルから北へ約40マイルのノーサンバーランド州の海岸で石炭紀の巨大ヤスデ、アルトロプレウラの化石が見つかった。

先日、オーストラリアで1000本以上の足を持つ新種のヤスデが発見されたが、今度は最大のヤスデの登場となった。

【閲覧注意】1000本以上の足を持つ世界で最も足の数が多い新種のヤスデがついに見つかる。
害獣と呼ばれる動物がいるように、虫にも害虫と呼ばれ、一般世間から忌み嫌われる種の虫がいる。 主に人間社会に害をなす生物がそう呼ばれるが、虫に関しては見た目で嫌煙される種も少なくない。 害虫には衛生害虫(噛む、刺す、病原体を媒介す...

化石の断片は75cmほどであったが、この化石から想定される体長は2.7m、幅50cm、体重は50kgほどであり、過去最大の大きさとなる。

体長2.7mは車と程同等の長さだ。尚、アルトロプレウラは死ぬ際に体がバラバラになる性質がある。よって、体系を残した化石は殆どの場合、抜け殻である。

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偶然の産物

崖から落ちて割れた岩の中から出てきた。(出典:phy.org


化石の発見自体は2018年1月とかなり前のものだ。化石の発見は偶然の産物だった。

崖から海岸に落下した大きな砂岩が割れ、中から化石が出てきたのを偶然通りかかった元博士課程の学生が見つけた。

現在の冷涼かつ湿潤な気候なノーサンバーランドは、石炭紀には赤道付近にあった為、熱帯的な気候であったと考えられている。

その頃の無脊椎動物や両生類は、小川や河川の周辺に散在する植物を食べて生活していた。おそらく、アルトロプレウラの脱皮部分が河川付近の砂で満たされ、何億年も保存された結果だと思われる。

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分析結果

今までで最大サイズのヤスデだった事が判明(出典:phys.org


化石は非常に重量があり、4人がかりで海岸から運び出され、ケンブリッジに送られて詳しく調べた結果、アルトロプレウラの新しい生態の特徴が判明した。

アルトロプレウラは北米やドイツでも見つかっているが、大陸移動する前の位置を計算すると全て赤道付近になる。4500万年の間、赤道付近で繁栄したものの、ペルム紀に絶滅した。

これまでの復元図では石炭沼に生息しているとされていたが、今回の発見で海岸近くに開けた森林を好んで生息していることがわかった。

頭の化石は発見されていないため、まだまだ不明な点は多いが、これほど大きくなるには、高栄養価の食事をしていたに違いないと考えている。

栄養価の高い木の実や種子、或いは他の無脊椎動物や両生類などの小さな脊椎動物を食べる森林の捕食者だった可能性もある。

この化石は、2022年の新年にケンブリッジのセジウィック博物館で一般公開される予定だ。

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参考文献

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Amet

旅行が趣味の団塊ジュニア世代。旅先で歴史を学んだり遺跡を見学したりその土地の食べ物を楽しむ事をライフワークにしています。本業はテクノロジー/マーケティング関係で情報収集と分析が専門です。

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