自然
4万1000年前の地球ではオーロラが赤道で見られた可能性。

4万1000年前に地球の磁場が乱れ、1300年もの間オーロラが赤道付近に出現していた可能性。

オーロラを見たことがあるだろうか?

現象の名前もどんなものかも知っているけど実際に目で見たことがある、という者は少なくはないかもしれないが決して多くは無いだろう。

オーロラは現在は基本的に北極付近と南極付近で見られることが多い。北極側は発生にある程度条件が必要だが、南極側のオーロラは通年見る事が出来るのはあまり知られていない。特に見やすいのは5月から8月。南半球での冬だ。

南極光(南極オーロラ)を見る - オーストラリア政府観光局
オーストラリアで南極オーロラを体験してみませんか?極上の景色を求めてタスマニア州へ。最も神秘的な自然現象の一つを目撃するために知っておくべきポイント。

北半球では北極圏に近い町等で見るパターンが多い。

例えばカナダのイエローナイフやロシアのコールドフット、アラスカ、サンタクロースで有名なフィンランドのロヴァニエミなどだ。

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オーロラとはいったい何なのか


オーロラは見た事は無いけど、名前も見た目も見れる場所もある程度分かっている。ではオーロラとはいったい何なのか。

オーロラは古くから存在する現象で、古文書や伝承に残されており、日本でも過去に観測されている大気の発光現象だ。

太陽風のプラズマが地球の磁力線に沿って降下し大気中の酸素や窒素を励起することによって発光すると考えられているが、詳細にはいまだ不明な点が多い。光のカーテンのようだが電磁波や電流と磁場、熱なども出る。

2021年9月末の大規模な太陽フレアの影響でいつもより多くのエリアでオーロラを観測できたのは記憶に新しい。また、2017年にも大きな太陽フレアによって各地でオーロラが出現した。

オーロラが大量発生、原因は10年ぶりの巨大な太陽フレア
<太陽活動活発化の影響で極地以外のミシガン州やウィスコンシン州などでもオーロラが...

オーロラは地球の磁場線に沿うと考えられている為、太陽フレアによって磁場線が乱れると、その乱れに沿ってオーロラも出現場所を変える。

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4万1000年前のオーロラが驚くべき場所に出現した事が判明


そんなオーロラが、今から4万1000年前に地球の磁場が大きく乱れ、驚く事に地球上で最も温度の高い赤道付近に出現していたことが新しい研究で明らかになった。

この時期でピンと来た者もいるかもしれない。そう、この時期はラシャン・エクスカージョンと呼ばれるポール・シフト(Wikipedia)を起こし、地球環境に変化を与え、大量絶滅につながる大きな気候変動の引き金になったと考えられている。

Just a moment...

この影響で磁場が乱れ、オーロラは赤道付近に1300年もの間、出現する場所となっていたのだという。

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磁場の傾きが直るまで1300年かかる


ポール・シフトによって地球の磁場が正常な強さと位置に戻るまで1300年かかった。この間、前述したように磁場線に沿って出現するオーロラは赤道近くに現れるようになっていたのだという。

この研究はニューオーリンズとオンラインで開催された米国地球物理学連合(AGU)の年次会議でミシガン大学気候宇宙科学部のアグニット・ムコパディヤイ博士によって発表されたものだ。

このオーロラを赤道まで移動させるほどのポール・シフトは地球で生きる生物の生活環境に強い影響を与えた可能性がある事を公表した。

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地球の磁場はどのように生まれる?


地球の磁場の発生原因には様々な説があるが、地球の溶けたコアの攪拌(かくはん)作用で生じるという説は有力説の一つとなっている。

地球の中心付近でドロドロに溶けた金属が流れ、地球の自転と相まって、地表の南北に磁極が発生し、磁力線が弧を描くように磁極を結ぶ。

地磁気 - Wikipedia

これらの磁力線は磁気圏と呼ばれる保護帯を形成し、宇宙からの放射性粒子から地球を守っている。

磁気圏はまた、太陽風や太陽から吹き出すストリーミング粒子によって地球の大気がすり減らないように保護している。

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太陽と地球と磁気


太陽に面する地球(太陽風の影響を受ける側)では、磁気圏は地球の半径の約6〜10倍に圧縮されている。

地球の夜側では、磁気圏は宇宙空間に流れ出し、地球数百個分の長さに及ぶとNASAの科学者たちは考えている。

しかし、約4万1000年前、磁気圏の強度は現代の4%近くまで急落し、横に傾いた。つまり、「ポール・シフト」である。

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過去の堆積物を元にシミュレーション


ムコパディヤイ博士らは古い時代の岩石堆積物や火山のデータから得た地球の磁気のデータを、ラシャン・エクスカージョン時の磁場シミュレーションに採用した。

さらに、このデータと磁気圏と太陽風の相互作用のシミュレーションを組み合わせ、オーロラを発生させる太陽粒子のイオン圧、密度、温度などのパラメータを解析して、オーロラの位置、形、強さを計算する別のモデルを作成。

この結果、磁気圏が地球の半径の約3.8倍まで縮小したにもかかわらず、完全に消滅することはなかったことを発見。この磁気圏の縮小期に、南北に位置していた磁極が赤道緯度に移動し、オーロラもそれに追随したのだ。

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ポール・シフトが気候変動と絶滅を引き起こした可能性

過去の研究から、ラシャン・エクスカージョンが、地球を環境危機に陥れ、先史時代の地球の居住性に影響を与えた可能性を示唆しており、新しいモデルは、そのような結果が「高い可能性」であることを示唆していると、ムコパディヤイ博士は報告している。

今年初め、他の研究者たちが、弱体化した磁気圏は太陽風によって容易に貫通され、オゾン層の破壊、気候変動、絶滅を引き起こしただろうことを発見した。

今回の発見は、ラシャン・エクスカージョンによる磁場の変化と地球上の生態系への深刻な影響との因果関係を証明するものでは無い。だが、このモデルはそのような関連性を確立するための今後の研究への示唆を与えてくれるだろう。

オーロラは過去に日本でも観測された。その理由を探ってみよう。

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参考文献

自然
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Amet

旅行が趣味の団塊ジュニア世代。旅先で歴史を学んだり遺跡を見学したりその土地の食べ物を楽しむ事をライフワークにしています。本業はテクノロジー/マーケティング関係で情報収集と分析が専門です。

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