自然
生命の痕跡が25億年前のルビーから見つかる(出典:ウォータールー大学 / via scitechdaily

25億年前のルビーの中から生命の痕跡が発見される。

今、地球上には様々な生物が存在する。人は勿論、動物、植物、虫に微生物などなど、地球は生命で溢れかえっている。

ではいつから生命は存在しているのだろうか。地球が生まれたのは46億年前と言われている。最初はマグマの海で構成されていた地球の表面は2億年後に冷えて地表が出来、海が出来た。

小惑星の衝突等もあって海は何度か消失したとみられているものの、8億年後には安定して海が存在できたと言われている。このころに初めて生命が誕生した。と言っても1つの細胞しか持たない単純な微生物だ。

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最古の生命


2013年、グリーンランドのイスアの岩石に地球の最古と思われる38億年前の生命の痕跡が発見された。地表に海が安定し始めた頃とほど同時期となる。

38億年前・最古の生命の痕跡を発見 グリーンランドの岩石に 東北大など
これまで見つかった中で最古となる38億年前の生命の痕跡がグリーンランドの岩石から見つかったと、東北大などの研究グループが発表。

生命の痕跡の証拠は炭素の同位体の比率だ。通常の炭素は陽子6個、中性子6個の炭素12と言う比率の原子に対し、中性子の数が7個になっている炭素13も地球上には存在する。炭素12と炭素13は地球上の様々な場所で一定して存在しているが、イスアの岩石には炭素13の占める割合が他の場所よりも低かった。

生物は炭素13よりも炭素12の方をたくさん取り込む性質がある。つまり、イスアの岩石が38億年前に生物がいたという証拠となったのだ。これにより「生命の誕生は38億年前」というのが定説となっている。

炭素は生物は勿論、土、火、水、空気にとって必須の元素だ。地球上の99.9%のものは、炭素を含む。過去の遺物がいつのものかを知るのも「放射性炭素年代測定」という炭素の理解が前提の調査法で行われる。

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25億年前のルビーの中から生命の痕跡を発見

発掘の様子。(出典:ウォータールー大学 via ScienceDirect


カナダのウォータールー大学の研究者チームは、世界最古のカラーストーンを分析していたところ、25億年前のルビーの中に、生命の痕跡である炭素残渣を発見した。

ウォータールー大学のクリス教授が率いる研究チームは、ルビー形成の必要条件をより理解するために、ルビーの地質学的研究に着手。

世界最古のルビーの埋蔵地として知られるグリーンランドにて調査していた所、炭素から成る元素鉱物であるグラファイトを含むルビーのサンプルを発見した。この炭素を分析した結果、初期の生命体の残骸であることがわかった。シアノバクテリアのような微生物の死骸である可能性が高い。

ルビーを含む岩石の中に古代の生命体の証拠の発見は世界でも初めてだと言う。この研究結果の論文は「ScienceDirect」誌に掲載されている。

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原核生物と真核生物


生命が誕生したのが38億年前だが、生物と言っても我々のように手や足、口などを持つような造形ではない。

生命誕生から17億年の間はバクテリアなど細菌のようにDNAを持たない単細胞生物、いわゆる原核生物しか存在しなかったとされ、今から21億年前にようやく真核生物が誕生したと考えられている。

だが、いずれにしても重要になるのは炭素だ。研究チームはこのグラファイトが生命体だけでなく、ルビーそのものにも必要だった可能性があるとしている。グラファイトは周囲の岩石の化学的性質を変化させ、ルビーの成長に適した条件を作り出したのだ。

グラファイトがなければこの地でルビーを形成することはできなかっただろう、というのが研究チームが出した結論だ。

生命誕生はまだまだ謎が多い。今、分かっている事を学んでみよう。

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参考文献

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Amet

旅行が趣味の団塊ジュニア世代。旅先で歴史を学んだり遺跡を見学したりその土地の食べ物を楽しむ事をライフワークにしています。本業はテクノロジー/マーケティング関係で情報収集と分析が専門です。

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