地球上の生物は知っての通りとても多様的だ。微生物から大型動物、空や森、山や海、地中に至るまで数多の種類の生物で満ち溢れている。
群れを成す種もあれば単独で動く種、多くの子を産む種もあれば微量の個体しか生まない種もあり、それぞれがバランスを取り合って生態系は成り立っている。
その中には非常に少なく詳細も不明な超レア種もあり、そのため目撃情報が異常に少ない。今日はその超レアな生物が目撃され、貴重な映像を撮る事が出来たのだと言う。
メキシコ湾でミズヒキイカが確認される
米国海洋大気庁(NOAA)の科学者たちが米国南東部の大西洋西部に位置する深海で、これまでさほど調査対象とならず、生態系があまり解明されていなかったエリアを調査したところ、非常に珍しいミズヒキイカを確認した。
沿岸の浅瀬とメキシコ湾の深海を隔てる海底の急斜面である「西フロリダ断崖」付近で水中撮影を行っていたところ、リモート・オペレーティング・ビークル(ROV)の前を漂うミズヒキイカを発見し、更に上のようにとても貴重な映像を撮る事に成功した。
ミズヒキイカは非常に目撃情報が少ない、というより、目撃できる事自体が非常に稀であり、このように実際に映像で確認できるのは調査結果として大きな成果と言える。
ミズヒキイカとは
ミズヒキイカとは、虹色に輝く巨大なヒレと、肘のように曲がった触手を持つ一見クラゲのようなイカで、これまでで目撃情報は20件にも満たない超レアな種である。※Wikipediaでは3個体のみとなっている。
発見されたミズヒキイカは海面下約2,385mを泳いでいたが、過去には4,735mの深さで発見されたこともあるという。非常に稀な存在であるため、世界で何匹いるのかは不明だ。
学名が付いたのは1998年で現在までに3種のみ記載されている。オーストラリアで複数確認されるなど、目撃情報が増した。
大きなひれと肘のような曲がりのある長い8本の腕と2本の触手という独特の外観をしたミズヒキイカは長さが6mを超えることもある。
知られている最大のミズヒキイカは6.4mとなっており、そのうち腕と触手が6.1mと、体の20倍の長さを持っている。
深海へのアクセスがカギ
ミズヒキイカが腕や触手を具体的にどのように使っているのかは不明である。これらには微細な吸盤が付いており、科学者たちは、イカが触手や腕で海底を引きずった際に、ぶつかった獲物を捕らえるために使っているのではないかと考えている。
目撃されるたびに、このとらえどころのない不思議な海洋生物についての情報が増えるものの、まだまだ学ぶべきことはたくさんある。
深海へのアクセスが増えれば、目撃する機会も増え、その生態や行動などを知ることができるようになるだろう。