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ホホジロザメに体を効率けるアジの群れ(出典:マイアミ大学

ホホジロザメの「サメ肌」に自分の身体を擦り付ける魚の群れを水中ドローンで確認。

地球上の生物は基本的生態系が存在し、生態系には頂点捕食者が存在する。山や海、森、草原、砂漠、川、雪原、土の中などだ。

これは人が存在しない大昔から変わらない地球上のルールで、例えば昔、南オーストラリアでワシがコアラを捕食していたように、その時代でそれぞれがバランスを保って生態系が維持されていた。

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例えば山や森ならワシやクマ、アフリカの草原ではライオンやヒョウ、川や湖ならワニ、海ならサメやシャチやイルカ、そして地球全体の頂点捕食者にヒトが存在する。

他の頂点捕食者に比べてヒトが異質なのは頂点捕食者でありながら数が非常に多い事だろう。通常、ピラミッドの形となり、頂点に君臨する生物は数は多くならない。

そんな頂点捕食者で非常に珍しいケースがメキシコのグアダルーペ島で確認された。

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ホホジロザメを利用する魚の群れ

動画は水中ドローンでホホジロザメ(ホオジロザメ)を捉えた映像だ。見てわかるように、非常に奇妙な内容となっている。

海の頂点捕食者であるホホジロザメの身体に、捕食対象であるカスミアジの群れが体を擦り付けているのだ。

調査チームによると、サメに身体を擦り付ける魚のケースは47件も確認できたという。

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自然界で唯一?


魚が砂や岩などに体を擦り付ける現象は既に確認されているが、頂点捕食者であるサメに対し、1次~3次捕食者である魚が積極的に自分達にとって捕食者であるサメを探して身体を擦らせる、というのは自然界で唯一のシナリオだとマイアミ大学(UM)のローゼンスティール海洋大気科学部のサメ研究・保護プログラムが率いる共同研究チームは語る。

野生の動物と頂点捕食者であるヒトとが触れ合うケースは多くあるが、多くの場合、餌付けなど動物の性質を利用したものであって、基本的に捕食者が近付けば逃げられるのを我々は知っているはずだ。

実は魚がサメに擦り寄る例はこれまでにも観察されていた。だが、今回の研究では、種を超えたこのような行動が想定以上に広がっていることがわかった。

世界の13カ所で記録されたこの擦れ合いは、8秒から5分以上までさまざま確認されており、例えばジンベエザメの頭にシルキーシャークが擦り寄ったり、サメに擦り寄る魚の数は、一度に1匹から100匹以上にも及ぶケースもあるなど様々なケースが確認されたのである。

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「サメ肌」を利用した可能性


なぜ魚たちが捕食される危険を冒してまでサメに近づくだけでなく身体を擦り付けるような事をするのか、正確にはまだよくわかっていない。

マイアミ大学(UM)のローゼンスティール海洋大気科学部の准教授で研究の共著者であるネイル氏は以下のように考えている。

「サメの皮膚、いわゆる『サメ肌』は皮膚歯状突起と呼ばれる小さな歯のようなウロコで覆われており、これが魚に粗い紙やすりのような物として提供しているのかもしれない。サメの皮膚との摩擦が、寄生虫やその他の皮膚刺激物の除去に重要な役割を果たし、魚の健康と体力を向上させるのではないだろうか」

刺身や寿司の文化を持つ我々日本人は、特に魚が寄生虫をどれほど持っているかを知っているだろう。

それだけにネイル氏の考えには納得できるものがあるが、それに加えて必要時以外は狩りをしないなど、生態バランスを本能で保つ自然界の動物たちが可能にした関係なのかもしれない。

人が住めないフィールドで暮らす海洋生物はまだまだ謎で溢れかえっている。彼らの生態を学んでみよう。

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参考文献

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Amet

旅行が趣味の団塊ジュニア世代。旅先で歴史を学んだり遺跡を見学したりその土地の食べ物を楽しむ事をライフワークにしています。本業はテクノロジー/マーケティング関係で情報収集と分析が専門です。

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