気候変動による地球の温暖化の加速はもはや疑いようのない事実だ。特に2021年は世界各地で兆候が顕著に現れた。
世界的な指導者や専門機関だけに留まらず、ローマ法王までもが警告を公式でアナウンスするに至っている。これは異例の事であり、それだけ切迫した状況と理解できる。
気候変動は動植物にも影響を与える為、食料不足などに陥り、間接的に我々の生活を締め付ける。
勿論、多発する山火事や台風、豪雨、干ばつ、異常高温など人類に直接的な影響を与えもするが、更に致命的な問題が生じる可能性も示唆された。
気候変動が核武装に
気候変動により、2100年までに北極圏の永久凍土の3分の2が失われる可能性があると科学者たちは警告している。
これにより生じる問題は海面上昇だけではない。永久凍土の融解により、抗生物質に耐性のある病原体が放出される可能性もある。
更に、冷戦時代の核廃棄物が大気中に放出され、人間に害を与え、温室効果ガスの排出量を増加させる可能性がある事が分かった。
永久凍土の地下に地下に眠る脅威
アバリストウィス大学の科学者チームは気候変動の影響で、2100年までに北極圏の永久凍土の3分の2が失われ、永久凍土の地下に眠っている冷戦時代の核廃棄物や致死性の病原体が放出される可能性があることを発表した。
科学誌「Nature Climate Change」に掲載された研究によると、永久凍土の地下に生息する100種類以上の微生物がすでに抗生物質耐性を持っていることが判明している。
1995年から1990年にかけてソ連が行った130種類の核実験によって、大気中に高濃度の放射性物質が残された。そして核廃棄物とともに、現在、氷の中には数百種類の微生物が眠っている。
永久凍土が融けると、これらの細菌が雪解け水と混ざって、既存のウイルスに抗生物質が効かない新たな株を生み出す可能性があり、更に核廃棄物が放出されれば、人間や動物にとって有害なものとなり、数千年前のウイルスも放出されると、一気に社会を混乱に落としいれる。
これは一例に過ぎないが、2016年、シベリアで永久凍土の融解により、炭疽菌に感染した70年前のトナカイの死骸が露出、子供が感染して死亡し、更に他の数人にも影響が及んだとオブザーバー研究財団が発表した。
このような危険な細菌やウイルスがまだまだ永久凍土の地下に眠っている。
ロシアによる数々の核実験の場に
1961年にロシアがバレンツ海でツァーリ・ボンバ(Wikipedia)の実験を行った。5000万トンの通常兵器を爆発させ、広島を焼き払った原爆「リトルボーイ」の約3,300倍もの威力を発揮した。
その核爆発は2,000km離れた場所からも確認され、衝撃波は地球を3周した。当時の様子はロシアの国営原子力企業、「ロストアム」によって動画が公開されている。22秒あたりが爆発の瞬間だ。
1961年10月30日にノヴァヤゼムリャで、唯一大気圏内核実験が行なわれた。実験では威力を半減して行われたが、それでも驚異的な威力だ。単一兵器としての威力は人類史上最大である。
ツァーリ・ボンバに留まらずロシアの核実験は、224個の爆発物を使用し、約265メガトンの核エネルギーを放出しただけでなく、100隻以上の退役した原子力潜水艦をカラ海やバレンツ海に廃棄した。
ロシア政府はその後、浄化計画を開始したが、この地域が海底堆積物、植生、氷床の間で、放射性物質のセシウムとプルトニウムについて高い検査結果が出ている。永久凍土地下には更に高濃度の放射性物質が眠っている可能性もある。
採掘もあだに
北極圏にはヒ素、水銀、ニッケルなどの天然金属鉱床があり、何十年にもわたって採掘されてきたが、この影響で数千万ヘクタールに及ぶ廃棄物による膨大な汚染が発生している。
これらの化合物が永久凍土から放出されると、人間が食料を頼りにしている地域の動物や魚を毒殺し、食料不足を増大させる可能性がある。
また、有害化合物は核廃棄物とともに、より多くの温室効果ガスを大気中に放出し、気候変動を更に加速させる事だろう
人類の危機
今は人類の危機だ。コロナ禍で、「危機は足音を立てずに徐々にやってくる」というのを理解した者も多いだろう。
気候変動も同様で、目に見えないため実感しにくいが、ローマ法王やグレタ・トゥーンベリ氏の言葉を借りると「一刻の猶予もない」というのが現状だ。
気候変動で干ばつが起こり、山火事が発生し、更に温暖化が進む、抜け出せないスパイラルに陥っている中で、自動車、火力発電などで更に拍車をかけている。
前述した2100年というのももっと早くなる可能性もあるため、我々の子供たちだけでなく、我々自身をも死に追いやる可能性がある事を忘れてはいけない。