歴史・考古学
6600万年前の小惑星衝突で起きたという数々の証拠。

6600万年前に小惑星が地球に衝突し、何が起こったのか。

地球が誕生して46億年、生命が誕生したのが38億年前と言われている。今後の研究や発見でこの認識は変わるかもしれないが、現状ではそのようになっている。

それから2021年の今までで、地球上の生命たちは5度の大量絶滅の危機を経験しており、今は6度目では無いかと言われている。

1回目は三葉虫などがいた4億4000万年前に85%の種が絶滅、2回目はデボン紀後期の約3億6500万年ほど前に75%ほど、3回目は三畳紀頃の2億5300万年前で火山噴火や酸性雨で90%もの生物が絶滅、4回目はジュラ紀頃の2億100万年前でやはり火山の活発化で80%ほどが絶滅したとされている。

そして5回目が我々人類が知る最も最近の大量絶滅の6600万年前の恐竜などの絶滅で75%ほどの種が絶滅した。1~4回目と5回目が異なるのは、地球そのものが要因かそうでないかという点。

そう、知る人も多いだろうが、5回目の大量絶滅だけは小惑星の地球衝突という外的要因で大量の種が絶滅した。この時、地球に何が起こったのだろうか。証拠を添えて紹介する。

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どのような小惑星がどこに落ちたか

小惑星は6600万年前にメキシコのユカタン半島北部に、斜めにえぐるように衝突した。クレーターの名前はチクシュルーブ・クレーターといい、マヤ語で「悪魔の尻尾」を意味する。

この地の地磁気異常、重力異常、およびセノーテの分布はいずれもきれいな円弧を描いており、この円の中心が衝突地点である。クレーターの直径は約160km。

衝突した小惑星の大きさは直径10~15km、衝突速度は秒速20km、衝突時のエネルギーは広島の原子爆弾(リトルボーイ)の約10億倍(ツァーリ・ボンバの30万倍)、衝突地点付近で発生した地震の規模はマグニチュード11以上、これにより生じた津波は高さ約300メートルと推定されている。

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運の悪い角度


Nature Communicationsに掲載された2020年の研究を主導したテキサス大学地球物理学研究所のショーン・ガーリック教授によると、小惑星は地球の表面に200kmの傷跡を作り、地平線から約60度の位置で地球をえぐる様に衝突した。

この角度は、大量の塵やエアロゾルが大気中に放出されるため、特に破壊的なものだった。

この角度の証拠はクレーターの非対称な構造、アップワープ(上に曲がった)マントル岩石の位置、この地域から集められた堆積物の配列、そして特に、コアの中にエバポライトと呼ばれる独特な岩石が存在しないこと、といった点で証明される。

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衝突した結果、何が起きたか


研究チームは、この衝突によって蒸発岩が気化し、325ギガトンの硫黄がエアロゾルの形で、更に435ギガトンの二酸化炭素が大気中に放出されたと推定している。

大気中に放出された物質の大部分は、粉砕された岩石と硫酸の液滴で構成されていた。これは、無水石と呼ばれる硫酸塩を多く含む海洋性岩石が、小惑星の衝突時に気化したものである。(参照:nature geoscience

この物質を含んだ雲によって地球は覆われ、地球に届く太陽熱や光を減少させた。その結果、地球は長期的に気温が下がる現象が起こるなど気候が大きく変化した。

2016年に発行された「Geophysical Research Letters」誌に掲載された研究によれば、熱帯地方の平均気温が27℃から5℃にまで急降下したという。

太陽光が届かないため、植物は光合成が出来なくなり、陸や海の食物連鎖の基盤が崩れ、恐竜をはじめとする多くの動物が死滅した。

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津波の発生と酸性雨


衝突後に空気中に放出された硫酸は、致死性の酸性雨となり何日も降り続いた。この酸性雨が海面付近に生息する海洋動物や湖、川に暮らす淡水動物などに被害を与えた。(参照:nature geoscience

更に、衝突によって大津波を引き起こした。最初に発生した津波の高さは1.5km近くに達し、時速143kmで広がった。

その他にも、大西洋で最大15m、北太平洋では4mなど、非常に高い波となった。ルイジアナ周辺の堆積物の記録には、この大津波による証拠が残されている。

ルイジアナ州の地下の地質を3D地震調査で調査したところ、高さ16mの長くて非対称で巨大な漣痕(Wikipedia)が発見された。これがメキシコ湾の衝突地点を示す証拠となる。(参照:ScienceDirect

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火事の発生


衝突後、粉砕された岩石と灰が地表に落ちる。すると、火薬に点火するように、一連の山火事を引き起こした。

この煙と灰が膜となり、太陽光をさらに減少させ、地球の気温を更に低下させたと考えられる。

地球に起きた5回の生物の大量絶滅のうち、唯一外的要因によって生じた6600万年前の大量絶滅はこのような現象の結果によるもので、これまで書いた通り全て証拠が物語ったものだ。

恐竜絶滅は小惑星が原因ではなく、すでに絶滅しかけていた、という説もあるが、最終的、そして結果的に絶滅の原因となったのはこの小惑星の衝突に他ならない。

6600万年前、小惑星の衝突で恐竜は絶滅した。過去の文献と揃った証拠を比較してみよう。

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参考文献

歴史・考古学
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Amet

旅行が趣味の団塊ジュニア世代。旅先で歴史を学んだり遺跡を見学したりその土地の食べ物を楽しむ事をライフワークにしています。本業はテクノロジー/マーケティング関係で情報収集と分析が専門です。

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地球ヤバイ!