医療・健康
依存症などの解決に繋がる発見か

ドーパミン以外の新しい報酬系経路が発見される。依存症や精神疾患の克服の鍵となるか

人や動物には「快感」と呼ばれるものがある。喜び・幸せ・満足といった感情が沸いたときに脳内に快楽物質が分泌され、「快感」を引き起こす。

このような、何か心地よいと思う事が起きた時に脳内が活性化、快感を感じさせる脳内システムは報酬系(Wikipedia)と称される。

報酬系は人や動物にとって、とても大きな行動の動機となっている。もはや「行動させられてる」と言っても過言ではないだろう。それゆえ、ギャンブルやゲーム、アルコールや薬物などの依存症に落ちる事も多い。

最もよく知られている報酬経路が中脳辺縁系ドーパミン系だ。腹側被蓋野(VTA / Wikipedia)から側坐核に投射するニューロンで構成されている。この度、このドーパミン系以外の報酬経路が見つかったと報告された。

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VTAにある細胞の30%はGABA作動性ニューロン

ニューロンは脳内物質を渡す中継役を担う細胞だ


ワシントンの医療専門家チーム・UW MedicineのBruchas研究室に属するワシントン大学医学部麻酔学・疼痛医学教授のマイケル・ブルーチャス博士や他の研究者たちによって論文がNature Neuroscience誌に掲載された

Nature Neuroscienceは国際的な神経科学コミュニティーに対して、神経科学におけるすべての領域で行われているきわめて興味深い研究成果を伝えるフォーラムを提供する機関。

ニューロンは脳や神経系の基本単位であり、外界からの感覚入力を受け取り、筋肉に運動命令を送る等、いわゆる中継役を担う細胞の一つだ。彼らは中脳の腹側被蓋野にある細胞の約30%がGABA作動性ニューロンであることを発見した

治療薬が逆に依存を引き起こす事もある等、なかなか解決策が無いのが現状だ

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依存症やうつ病などの治療の貢献に期待

腹側被蓋野のGABA作動性ニューロンは、報酬や嫌悪感等に関与していると考えられており、依存症やうつ病などのストレス関連疾患の治療に貢献すると期待されている。

今回の研究では、オスとメスのマウスを用い、腹側被蓋野から背側ではなく腹側の側坐核までの長距離のGABA作動性ニューロンが報酬に関与していることを示した

結果的に、このGABA作動性投射が報酬関連の学習に重要な役割を果たすコリン作動性介在ニューロンを抑制する事が明らかになった。

これは、人や動物が何度も快楽を感じる事で依存してしまう現象を抑制できる可能性がある事を意味するだろう。

今回の発見は、「うつ病や依存症などの神経精神疾患に直接関与している神経回路の理解を深めるものとなる」と研究者らは語る。

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「依存」は世界的な問題

依存は世界でも社会問題になっている


人や動物は簡単に過剰な報酬によって依存してしまう。分かりやすい例ならアルコール、ニコチン、性行為などや他にもゲーム、ソシャゲ等のガチャ、パチンコなどのギャンブルなどだ。

人の社会は基本的に世の中を快適にする事が目的で動いている。インフラ整備やIT技術なども、より社会を便利にしようとした結果だ。勿論企業はその先にあるビジネスが目的だ。

快適は快楽でもある。今の世の中は依存しやすい社会であるともいえるだろう。そして、依存は時として人の死に繋がる事もしばしばある。

依存から抜け出せる方法が確立されれば、無駄な死や不幸を減らせるだろう。今後の研究にも期待が高まる。

依存症ビジネスの存在を理解しよう。

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参考文献

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Amet

旅行が趣味の団塊ジュニア世代。旅先で歴史を学んだり遺跡を見学したりその土地の食べ物を楽しむ事をライフワークにしています。本業はテクノロジー/マーケティング関係で情報収集と分析が専門です。

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