医療・健康
c-PTSDとはどういったものなのか。PTSDとの違いは?

複雑性PTSD(c-PTSD)とは何なのか。治療法はあるのか。PTSDとの違い。

PTSDという言葉は日本でもかなり認知されるようになった。日本で知られるようになったきっかけは淡路大震災やサリン事件と言われている。

PTSDとは心的外傷後ストレス障害(Post Traumatic Stress Disorder)を略したもので、大きなショックを受けることで心に傷を受け、トラウマとして傷が残り、継続して「心の傷が疼く」というものだ。

心的外傷後ストレス障害 - Wikipedia

だが、PTSDの中でも複雑性PTSD(c-PTSD)というものがある、というのはあまり知られていない。

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PTSDとは


c-PTSDとは複雑性、あるいは複合的なPTSDの事を指す。まずはPTSDをおさらいしよう。PTSDの発症条件は名前の通り心的外傷を受けた後に発症するもので、1980年に初めて診断名が付けられたまだ歴史の浅い疾病だ。症状は主に以下の4つがある。

  • 心的外傷(記憶や悪夢)の動揺と侵入による再体験
  • トラウマを思い出すことを避ける
  • 心的外傷を受けた後の気分や考え方の大きな変化
  • 危険に対する反応性や警戒心の高まり

だが、PTSDの症状は様々な形で現れるため一概に上記4つのみとはと断定できない。PTSDの症状の現れ方は多岐にわたっており、トラウマの再体験に強い苦痛を感じる人もいれば、危険や脅威に対する持続的な過敏性が最も強い症状となる人もいる。

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複雑性PTSD(c-PTSD)の主な特徴


では複雑性PTSD(c-PTSD)とはどういったものなのか。特徴については必ずしも一致しているわけではない。

例えば、幼少期にトラウマを経験している可能性があり、それが大人になってからより広範な問題につながっているのではないかと考えられている。

また、生涯を通じて繰り返し、あるいは長期にわたってトラウマにさらされることが重要な特徴であると主張する者や拷問などの特定のトラウマ体験がc-PTSDとを区別する方法であると主張する者もいる。

現在、c-PTSDについては、上記のようなトラウマから生じる広範な心理的影響を認める、ある種のコンセンサスが得られている。これは、一連の研究に基づいており、PTSDだけに見られるものよりも幅広い問題を抱えたものである。

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幅広い問題とは


幅広い問題とは具体的に何であろうか。c-PTSD患者は通常のPTSDの兆候をすべて持ち合わせていると考えられている。

  • 感情のコントロールが困難である。
  • 罪悪感や無価値感など、自己否定の意識を持っている。
  • 対人関係における困難。他人とのつながりが希薄になり、人間関係において親近感を持てなくなる等。

幼少期のトラウマがc-PTSDリスクに繋がる事は言うまでもないだろう。幼少期のトラウマは、自己肯定意識を育む機会や、感情をコントロールして有意義な人間関係を維持するスキルを身につける機会を得る前にトラウマを経験することが多いからだ。

しかし、世間に対する安全感や他者への信頼感を損なうようなトラウマでも、c-PTSDを引き起こす可能性がある。例えば性的暴行などの人権に関わるトラウマや、親、家族、信頼できる権力者からの裏切りを伴うトラウマなどだ。

c-PTSDの発症率についてアメリカとドイツで行われた地域調査では、人口の0.5%から3.8%の人がc-PTSDを経験しているという結果が出ている。(ドイツの調査結果アメリカの調査結果

また、約7.3%の人が一生の間にc-PTSDを発症すると推定されており、この数がc-PTSDが対岸の火事ではない事を示唆している。

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PTSDの治療


PTSDに治療法は存在するのだろうか。基本的にPTSDにはトラウマに焦点を当てた治療法など、確立された治療法が存在する。

この治療法は安全かつコントロールされた方法となっており、トラウマの記憶を体系的に思い出す形が取られるが、こういったトラウマ焦点療法にはストレスがつきものだ。それに、誰もが良くなるわけではない。

また、トラウマ焦点療法がc-PTSDにもPTSDと同様に有益であるかどうかは、まだ不明だ。

そのため、c-PTSDに対する心理療法では、トラウマ体験に焦点を当てる前に、感情や人間関係の安定を図るための、いわゆるモジュールを追加することが多い。

そのようなアプローチの1つとして、STAIR(Skills Training in Affective and Interpersonal Regulation)があり、エビデンスも出てきている。日本語でいうと「感情および対人的規制のスキルトレーニング」といったところだろうか。

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もしかしたらc-PTSDかもしれない、と思ったら


c-PTSDかもしれないと思ったら、頼るべきは臨床心理士だ。日本では国家資格として公認心理師がある。一方で民間の心理学関連資格は多数存在するため頼るべき機関の選択には注意が必要だ。

公認心理師
公認心理師について紹介しています。

臨床心理士資格は、知名度・取得難易度ともにもっとも高いものとされ、全国のスクールカウンセラーの資格要件とされていたり、国境なき医師団日本支部においてメディカルスタッフの資格要件として掲げられているなど公的にも活用されている確かな技術職だ。

臨床心理士は高度な養成課程に基づいた公的活用が行われる資格なため、教育機関、医療機関、行政機関、司法機関、民間企業、研究機関などさまざまな分野の各心理職において資格要件とされているところが多い。

PTSDは勿論、c-PTSDも、まだまだ研究が必要な分野だ。前述したように名前が付けられたのも1980年と最近の話だ。治療法が確立されているとはいえ、他の疾病と同様に100%治療する保証はない。

だからこそ、正しい知識を持った専門職に相談する事が重要だ。

PTSDに関する書籍は多く存在する。自己判断のためではなく、医療機関に罹るかどうかの判断の為に参考にしよう。

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参考文献

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Amet

旅行が趣味の団塊ジュニア世代。旅先で歴史を学んだり遺跡を見学したりその土地の食べ物を楽しむ事をライフワークにしています。本業はテクノロジー/マーケティング関係で情報収集と分析が専門です。

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