医療・健康
脂肪細胞が認知症やパーキンソン、アルツハイマー病に大きく関わっている可能性。

脂肪細胞が認知機能低下や神経変性の発症に影響を与えている可能性がある事を示す実験結果。

ヒトの進化は知っての通り脳の進化が大きく貢献している。脳は体や臓器などヒトの全てを司る、最重要器官であるが、それゆえに依存性が高いため問題が起きた時に生物としての性能が著しく低下してしまう。

脳疾患の種類は非常に多く、また先天性/後天性を問わず治療法や原因が分からないケースが非常に多い。脳疾患を減らす事が出来れば個人や家庭の精神的、経済的、肉体的負担は勿論、国の経済的リスクが減るため、各国の研究機関でも率先して脳疾患の治療や原因解明に関わる者も少なくない。

脳疾患でも特に患者人口が多いのが認知症や神経変性疾患、つまりアルツハイマーやパーキンソン、筋萎縮性側索硬化症(ASL)等のだ。重症化すると自立した生活も難しくなるため、家族の経済的、精神的、肉体的負担は非常に大きく、世界的に社会問題になっている。皆保険制度、介護保険制度を導入している日本では国の社会保障負担も非常に大きく、結果的に増税に繋がり国民の負担となっている。

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脂肪細胞が認知機能低下や神経変性の発症に影響を与えている可能性

脂肪細胞のイメージイラスト。(出典:Wikipedia


前述通り認知症や神経変性疾患は原因不明であったり治療法が確立されていない。治療法は難しくとも、原因が解明出来れば未然に防げる可能性が高くなる。

その原因の1つに脂肪細胞が大きく関わっている可能性があるという研究結果が報告された。

脂肪細胞 - Wikipedia

脂肪細胞が脳機能の全身反応をコントロールし、記憶と認知の障害を引き起こしているのがマウスの実験で確認された。この研究結果は「iScience」誌に掲載されている。

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認知機能の低下や神経変性における脂肪細胞の役割


マーシャル大学の科学者チームは酸化剤増幅ループに関わる研究を主導していた。この研究チームが認知機能の低下や神経変性における脂肪細胞の役割について新たな知見が得られたと報告した。

Na+/K+-ATPアーゼ剤増幅ループの活性化は脂肪細胞だけでなく、海馬においても重要なタンパク質マーカーの発現に影響を与え、脳機能を悪化させ、神経変性を引き起こす可能性があるという。

よって、脂肪細胞をターゲットにしてNa+/K+-ATPアーゼ(Wikipedia)を拮抗させることで、これらの結果を改善できる可能性があるという。

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マウス実験


研究者らは、遺伝子改変マウスを用いて、脂肪細胞に特異的にペプチドNaKtide(20アミノ酸ペプチド)を放出させ、NaKtideがNa+/K+-ATPのシグナル伝達機能を阻害することを発見した。

脂肪細胞に特異的にNaKtideを発現させることで、脂肪細胞の変質した表現型が改善され、記憶や認知に大きく関わっている海馬機能が改善されたのだ。

食事によって酸化ストレスが誘発されると、脂肪細胞に限局した炎症性サイトカインの産生が増加するとともに、海馬の記憶・認知に関するタンパク質マーカーが変化した。

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更なる研究の継続

この研究チームのミッションは脂肪細胞を中心としたNa+/K+-ATPアーゼシグナルが、脳の特定の領域、特に記憶や認知機能に重要な海馬の変化を引き起こす上で中心的な役割を果たしていることを実証することにある。

今回の研究で、食事(実験では西洋食)がNa+/K+-ATPアーゼシグナルを介して酸化ストレスと脂肪細胞の変化を誘発し、それが全身の炎症を引き起こし、行動や脳の生化学的変化に影響を与える可能性がある事が示された。

研究チームは今後、これらの知見がヒトでも確認できるかどうかを判断し、神経変性疾患における新たな治療法の確立に貢献する為に研究を継続する。

認知症は対岸の火事ではない。誰でも発症しうるものだ。今のうちに学んでおこう

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参考文献

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Amet

旅行が趣味の団塊ジュニア世代。旅先で歴史を学んだり遺跡を見学したりその土地の食べ物を楽しむ事をライフワークにしています。本業はテクノロジー/マーケティング関係で情報収集と分析が専門です。

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