テクノロジー
咳で病気を診断できるスマホアプリが開発中だという

どのような咳をしているかでどのような病気に罹っているかをAIが診断するスマホアプリが開発中

2020年そして現在の2021年は人類にとって歴史的な年となった。COVID-19による新型コロナウイルスパンデミックは現在進行形で世界を混乱に導いている。

勿論、COVID-19に限らずインフルエンザやSARSなど感染症の脅威は消える事は無い。これらの感染症を含め、初期症状の一つに「咳」がある。

この咳を聞く事でどんな病気に罹っているかを判断できるスマホアプリが開発中だという。

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音響疫学というカテゴリ


COVID-19によるパンデミックの影響で「他人の咳が怖い」と思うようになった者も少なくないだろう。実際、咳やくしゃみ、マスクの有無が暴力事件に発展したケースも多くある。

そんな恐怖の対象である咳が、将来は人の命を救うかもしれない研究が世界各所の研究者たちによって進められている。

これは音響疫学という、あまり聞きなれないカテゴリだ。それもそのはず、音響疫学は結核の専門家であり、アメリカ・デラウェア州に本社を置くHyfe社の最高医療責任者であるピーター・スモール氏やそのプロジェクトチームによる新たな視点だからだ。

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現在、AIが学習中


現在、研究者たちは患者や消費者がスマートフォンなどで録音した何百万もの咳の音を収集し、AIに訓練をさせて咳のパターンを見つけ出し、咳による病気の種類や重症度を測定する研究と開発を進めている。

Hyfe社では消費者向けと研究者向けの2つの無料スマホアプリ「Hyfe」を提供中、世界中の人の咳の回数や音を検出して追跡している。尚、日本でもリサーチパートナーが存在するようだ。Hyfe社のサイトによると麻布大学と協力関係にあるとなっている。

例えば肺炎なら肺の一部がパチパチと音をたてたり、喘息ならゼーゼー音を患者は出す事が多い。このように、咳の音や回数には様々な医療情報が含まれている

AIを使うのは効率化だけではなく、更に人間の耳では聞き取れない音やパターンが含まれているからだ。Hyfe社はこの件でも論文を提出している。

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なぜ咳にフォーカスしたのか


なぜ科学者たちは咳にフォーカスしたのだろうか。それは、咳が最も一般的な病気の兆候の一つであり、患者が医者に行く理由として非常に多いのが「咳」だからだ。

咳は気道内の刺激や不要な物質から体を守ろうとする防衛機能だ。しかし、医師は診察や病院の回診だけでの判断は非常に困難なのが現状だ。

患者が「ひどい咳が出る」と言っても、その咳は1日に10回なのか、それとも100回なのか、400回なのか、痛みは伴うのか、患者の主観に頼るしかないのに情報があまりに少ない。

ミネソタ州ロチェスターにあるメイヨー・クリニックの呼吸器科医、カイザー・リム氏は「呼吸器科医は、血圧計のない心臓内科医のようなものだ。特に患者にとって夜間にどれくらい咳をしているかを思い出すのは無理があるだろう」と語っている。

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COVID-19が直接的な理由ではない


この研究と開発はCOVID-19がもたらしたものではなく、医療業界に既にあった長年の課題に追加の課題を与えたに過ぎない。

COVID-19だけでなく、肺がん、結核、慢性閉塞性肺疾患、肺炎など、咳に関連する病気は世界の年間死亡者数の4分の1を占めている。

何百万人もの人々が慢性的な咳や喘息などの呼吸器系疾患に悩まされており、原因不明の慢性的な咳など、未だに証明できない疾患もある。

もちろん、これは完全なソリューションではない。例えば日本では法的な問題もあるだろう。例えば医療に関する診断は医師法に基づいているため、アプリが「病気を診断」するのは法に抵触する恐れもある。

しかしながら、現在進行中のパンデミックが今後も起きない、或いは起きても現状を人類が学習し即収束できる、とは考えにくい。また起こる可能性は高いだろう。

その時の為にも、今のうちから様々な防疫技術を開発やそれに伴う法整備を進めておく事が求められるだろう。

この件に限らずこれから社会に浸透するであろう人工知能がどういうものかも勉強しておくと良いだろう。

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参考文献

テクノロジー医療・健康
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Amet

旅行が趣味の団塊ジュニア世代。旅先で歴史を学んだり遺跡を見学したりその土地の食べ物を楽しむ事をライフワークにしています。本業はテクノロジー/マーケティング関係で情報収集と分析が専門です。

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