地球は今、温暖化現象の最中にある。平均気温が上昇し、氷河が溶け、海面が上昇し、海水温も上昇、異常に乾燥し、異常な降雨量を記録する。
地球の気候変動は明らかだ。では、この気候変動の原因はなんだろうか。地球は過去に何度か気候変動を経験している。
例えば2億5300万年前の大量絶滅は火山活発化や酸性雨によるものだ。氷河期と呼ばれる時代も気候変動と言える。小惑星が衝突し、恐竜を絶滅に追いやった6600万年前にも衝突によって気候変動が起きた。
これらの時代は間違いなく自然現象によるものだ。では、今現在の気候変動も自然現象なのだろうか。
気候変動の原因
今は確実に気候変動の真っ最中にある。数年前まで見かけた「気候変動は起きていない」といった議論はもはや科学者の間にはなされていない。
では、気候変動を引き起こした原因は何なのだろうか。メディアや書籍では、気候変動の原因は人間が引き起こしたか否かで意見が割れているのを見かけるかもしれない。
だが、このような気候変動に関する専門的な研究を行ったり、科学的な調査を実際に行っている科学者たちはどう考えているのだろうか。
科学論文の99.9%以上が同意していた。
コーネル大学の研究院達は88,125件の気候関連の研究を対象に調査した。これは2013年に発表された同様の論文では、1991年から2012年の間に発表された研究の97%が、人間の活動が地球の気候を変化させているという考えに同意していることが明らかになっていたが、今回はこれを更新するものとなる。
これは1991年から2012年の間と、2012年から2020年の間でコンセンサスに変化があるかを探る目的で調査した。結果、更に同意した論文は増えており、査読付き科学論文の99.9%以上が「気候変動は主に人間が原因である」との見解に同意していることがわかった。
本論文の筆頭著者であるマーク・ライナス氏は「コンセンサスが99%を超えていることは事実であり、人為的な気候変動の現実について、(特に一般の人々は)反論する事は不可能だ」という見解を示している。
本調査の論文は「IOP Science」誌に掲載されている。
現実を認識する事が重要
もし、「気候変動の原因は人間ではない」とするなら、88000件以上の査読付き論文が誤りである証拠、論文を提出する必要があるだろう。ライナス氏が不可能としたのは、この点にある。
このような結果にもかかわらず、世論調査や政治家・公的機関の代表者の意見は、誤った信念を指摘し、気候変動の真の原因をめぐって科学者たちの間で大きな議論が続いていると主張しているが、実際は議論などは続いておらず、ほぼ100%の科学者が気候変動の原因が人間である事に同意している。
2016年にピュー・リサーチ・センターが発表した論文によると、気候変動が人間の活動によるものだということに「ほぼすべての」科学者が同意していると考えている米国の成人は、わずか27%だった。
今人類がすべきは政治や権力、ビジネスを目的に気候変動を否定する事ではなく、現実を認識する事だ。気候変動は世界中に影響を及ぼし、経済をも大きく衰退させる。気候変動を抑えなければ自分の首が絞まっていくばかりだ。
調査方法について
ライナス氏は「どこにコンセンサスがあるのかを理解するためには、それを定量化できなければなりません。そのためには、文献を首尾一貫して、恣意的でない方法で調査する必要があります。」と語る。
今回の調査では、まず2012年から2020年の間に発表された気候変動に関する88,125のの論文のデータセットから、3,000本の研究を無作為に抽出して調査した。
3,000本の論文のうち、人為的な気候変動に懐疑的な論文はわずか4本であることがわかった。ライナスは、「(気候変動に懐疑的な論文は)その出現率がかなり少ない事は事前にわかっていましたが、88,000本の中にはまだあるはずだと思っていました」と述べている。
イギリス在住のソフトウェアエンジニアであり、共著者のサイモン氏は、懐疑的な論文の中から、「solar」、「cosmic rays」、「natural cycles」などのキーワードを検索するアルゴリズムを作成し、このアルゴリズムを8万8,000本以上の論文すべてに適用し、懐疑的な論文が上位に来るようにプログラムした。
その結果、懐疑的な論文が28本見つかったが、いずれもマイナーな雑誌に掲載されたもので、著名な雑誌での懐疑的な論文はほぼ皆無だった。
2013年に発表された97%という結果が、気候に対する人間の影響についての科学的コンセンサスに疑問を残していたとするなら、今回の99.9%以上という調査結果は、その不確実性をさらに解消するものだ。
今回の調査により、「気候変動の原因は人間ではない」は根拠が無く、「科学者の間では議論が続いている」は誤り、という結果になった。