最果ての地、という言葉はSFやファンタジーなど、どこかで目にしたり耳にしているかもしれない。
地球はご存知のように球体だ。よって、「最果ての地」は住む人の環境や考え方で別の場所になるだろう。
だが、北と南、最北と最南は明確だ。地球の最北は北極であり、最南は南極だ。そして、その最北に最も近い地が新たに発見された。
世界最北の島が発見
元々は世界最北の1つと位置付けられているグリーンランド(デンマーク領)のオーダーク島(Wikipedia)に、コペンハーゲン大学の地球科学および天然資源管理学部のモーテン・ラッシュ氏を含めた科学者チームが遠征に行く予定だった。
GPSに従ってオーダーク島に向かい到着したつもりでいたが、GPSにエラーがあり、実際に立っていたのはオーダークから更に北に780メートルほど進んだ未発見の島だった。
コペンハーゲン大学は、「まだ名のないこの島は、グリーンランドの最北端であり、地球上で最も北の土地の1つである」と声明を出した。
発見されるも、消滅の危機に
新たに発見されたこの島は、グリーンランドの領土を広げる結果になるものの、既に消滅の危機にあるという。
新発見の島は海抜は3~4メートルと低く、面積も縦60メートル、横30メートルほどだ。ラッシュ氏は「短命の小島である可能性がある」としている。
島は砂利と泥で構成されている為、大きな嵐の影響などで海底から物質が徐々に押し出さて出来た可能性があるため、同じように大嵐で消滅する可能性もある。
地球温暖化の影響である海面上昇で、キリバスやモルディブ、ツバルなどの国が消滅の危機に晒されている。
(※今回の発見が地球温暖化の影響によるものとは関連付けられていない)
注目されるグリーンランド
グリーンランドは北極海に位置する世界最大の島で、デンマーク王国の一部だが5万人ほどの人がおり、9割は先住民であるカラーリット(イヌイット)だ。自治政府を持ち、独自の議会もある。
アメリカの前大統領であるトランプ氏がグリーンランドを購入するという話が以前話題になった。
もともと鉱物などが豊富にある地域だが、温暖化の影響で氷河が溶け、今までアクセス出来なかった氷河下にも期待が寄せられている。原油、鉄鉱石、銅、金、ダイヤモンド、レアアースなど非常に有益なものばかりだ。温暖化の影響で新しい島が既に消滅の危機にあったり、鉱物の採取が捗ったりと、グリーンランドは温暖化の影響を強く受けている国の一つかもしれない。
アメリカは第2次世界大戦でグリーンランドに基地を設置、戦後も戦略的重要拠点と位置づけ、NATOの一環として、現在まで空軍基地やレーダー基地を置いている。
そんなグリーンランドには中国も注目しており、既にデンマークは中国との関係を深めつつある。
今回の発見で、グリーンランド(デンマーク)は領土を広げた形になる。採掘できるエリアも増える可能性があるが、消滅まで時間も限られるかもしれない。中国やアメリカの動きにも注目が集まる。