北欧はスウェーデンに連なるスカンジナビア山脈の北部にあるスウェーデン最高峰・ケブネカイセ山の標高が1年で2メートル低くなっていた事が関係者の調べで判明した。
地質学者が8月14日に山の高さを測定したときには2,094.6メートルあった山頂の高度は、昨年2020年8月に計測された2,096.5メートルをほぼ2メートル下回っていた。
また、9月中旬までに少なくとも更にに0.5メートル低くなる可能性が高いと付け加えた。一体何が起こっているのか。
融解する氷河
ケブネカイセ山は南峰と北峰があり、南峰の方が標高が高い。その南峰は元々、過去50年間で24メートル標高が下がっている事が記録(Wikipedia:英)されている。この50年で2120メートルあった標高は2,096メートルまで下がっている。
ところが、2020年から2021年のたった一年で更に2メートル下がったと記録されたのだ。記録したのは地球観測衛星「センチネル2」だ。
センチネルを管理する欧州の地球観測プログラム「コペルニクス」の発表によると、気候変動の影響で近年ケブネカイセ山を覆っている氷河の質量が3分の1にまで減少していることが明らかになった。
元々高低を繰り返していた
ケブネカイセ山のモニタリングは・ストックホルム大学のボーリン気候研究センターが担当している。測定は1940年代から始まった。
その観測結果によると、ケブネカイゼ山南峰の高さはもともと、夏場の流雪や氷の後退などがあり、年間を通じて変化している。
通常、5月に最も高くなり、9月中旬に最も低くなる。冬と夏の高さの差は、2〜3メートルにもなっていた。今回計測したのは8月で、最も低くなる9月までには更に0.5メートル下がるとされている。
南峰と北峰で入れ替わってしまっている
この地域の平均気温は昨今上昇しているため、氷の融解速度が速くなっている。ケブネカイゼ南峰への影響は、冬の積雪に影響を与える風のパターンの変化によって、さらに悪化してる。
スウェーデンと地理的に近い場所にあるグリーンランドでも山頂で初めて降雪ではなく降雨が観測されたばかりだ。
ケブネカイゼ南峰は、スウェーデン最高峰だったが、現在では岩を中心に構成される北峰のほうが高くなってしまっている。
深刻な気候変動
気候変動に関連する科学を的評価をするための国連機関であるThe Intergovernmental Panel on Climate Change(IPCC)は今月発表した報告書の中で氷河の融解は、気候変動の悪化を示す紛れもない兆候のひとつとして言及してる。
過去2,000年間で氷河の減少率は「比類のない」ものであるとし、この傾向は今後数世紀にわたって続くと予測しており、各国の温暖化対策がより強く求められているだろう。