過去に水があったと考えられている火星。果たして住めるのか、住んだら人はどうなるのか。
地球はいつまで人が住めるか分からない。地球以外に住む、という選択肢はある意味で人類にとっての希望であり叶えるべき夢で、過去から現在に至るまで、漫画や小説、映画などでもシミュレーションされてきた。
そんな人類の夢にNASAが一歩近づこうとしている。
火星生活のアナログミッションのクルーを募集開始
NASAは、火星での生活をシミュレートするため1年間のアナログミッションを2022年秋に初めて開始する。
その乗組員として参加する申請者を募集している。募集要項は以下の通り。
募集期間 | 2021.8.6.8:00~2021.9.17.17:00 |
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募集資格 |
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クルーの選択は、宇宙飛行士候補者におけるNASA基準に準拠する。
他、報酬やファイナリストとなった場合の必要事項等、詳細は以下から確認出来る。
ミッションは3回
NASAは、「クルー・ヘルス・アンド・パフォーマンス・エクスプロレーション・アナログ(略称:CHAPEA)」と呼ばれる一連のアナログミッションを実施する予定で、今回のような1年間の火星表面シミュレーションを3回行う予定だ。
今回のクルー募集の2022年、そして2024年と2025年にもミッション実施を予定している。シミュレーションはNASAのジョンソン・スペース・センターを拠点に行われる。
各シミュレーションには4人のクルーが参加し、「マーズ・デューン・アルファ」と呼ばれる約158m²ほどの3Dプリントで設計されたモジュールの中で生活する。
ミッション名から次の2回目、3回目も同じように一般人からクルーを募集する可能性が高いことが分かる。このアナログミッションは、将来の月や火星への有人宇宙飛行ミッションにおいて、潜在的な問題の予防や解決のための方法や技術を開発するのが目的のようだ。
NASAは火星移住を計画している!?
ヒューストンのNASAジョンソン・スペース・センターで、NASAの先端食品技術研究の主任研究員を務めるグレース・ダグラス氏は、
「火星生活での複雑なニーズを満たす為のソリューションをテストするために、このアナログミッションは非常に重要です。地上でのシミュレーションは、宇宙飛行士が出発前に直面するであろう肉体的、或いは精神的な課題を把握し、対策を立てるのに役立つでしょう。」
と述べている。NASAは火星移住を計画している、と考えているのかどうかは分からない。しかし、少なくとも火星に住む選択肢を作ろうとしているのは間違いなさそうだ。
火星に住んだらどうなるのか、というシミュレーション
宇宙、火星に住んだらどうなるのか。恐らく想像できる人は少ないだろう。しかし、少なくとも直面する課題として、リソースの制限、機器故障、通信遅延、その他の環境ストレスなどは必ず起こると想定しておく必要がある。
多くの宇宙専門家や行動科学者は、有人火星探査における最大の課題の一つとして、地球との通信手段が限られている事、或いは遅延が起こる事だと考えている。
月への通信は1.3秒の遅延が確認されている。この程度ならリアルタイムでの会話が可能だ。つまり、クルーは地球や家族、地上の管制官とのつながりを、地上にいる時と変わらず体感できる。
しかし月でさえも、通信ラグが発生するとミッションは激変する。これが、ラグ発生が基本となる火星ならどうなるだろうか。火星に住む、という事は現段階での環境では通信ラグが当たり前となる。この点は必ずシミュレーションが必要になるだろう。
通信技術の発展は必須だ。ラグは少なければ少ない方が良い。しかし、技術精度が上がっても何かのトラブルで通信ラグが発生する事も想定する必要がある。そのため、今回のアナログミッションによる「一般人のデータ」は非常に重要なものだとNASAでも考えられているようだ。