スマホの普及は日本は勿論、世界的にも大きな広がりを見せ、もはや世界中でインフラとしての役割を担いつつある。
そんなスマホに新しい試みが生まれようとしている。ご存知のようにワイヤレスイヤホンは現在多くのスマホユーザーに愛用されており、比較的安価で手に入る事もあって一般的にも流通している。
この度、電気工学およびコンピュータサイエンスの助教授であるRikkyMuller氏が新たな技術、「EarEEG」の実証を行ったとカリフォルニア大学バークレー校にて報告があった。
EEGとは
EEGとはElectroencephalogram、つまり脳波(wikipedia)の事で、現在脳波を調べるシステムはEEGシステムと呼ばれる。
脳波は医療の現場や医学、心理学、工学など、様々な分野で活用されている技術だ。
このEEGをワイヤレスイヤホンで検出し、データをBluetoothでスマホに送るシステムがEarEEGだという。
BCIの研究から構築
脳活動とコンピューターとの通信は、ブレイン・コンピューター・インターフェース(BCI)と呼ばれ、てんかんなどの脳疾患のモニターとして臨床試験が行われている。
現在BCIは神経の指令だけで義手や義足などの義肢を動かすことができる技術としても期待されており、日々研究が行われている。ここに更にEarEEGが参入する。
身近な存在であるスマホを自身の脳波の監視に利用できるのは何より私たち一般人にとって嬉しい知らせだろう。
RikkyMuller助教授は、現在バークレー校のBakar Fellowshipプログラムの支援を受けながら、EarEEGをコンシューマー向けアプリやヘルスモニタリングアプリをサポートする新しいプラットフォーム技術として確立するために、アプリケーションを構築している。
開発経緯
スマホによるEarEEGの可能性に気づいたのは5年程前。ワイヤレスイヤホンの人気にインスピレーションを受け、EarEEGを実用的なUIにし、民間用デバイスとの統合を思案してきた。
結果としてワイヤレスイヤホンで神経信号を検出し、データをBluetooth経由でワイヤレスに送信できることを実証したのだそうだ。
とはいえまだまだ課題は山積みだ。例えば神経信号は個人固有なため、、EarEEGを個人に合わせてパーソナライズする必要がある。この問題については個人の脳波パターンに関するデータを収集するためのトレーニングシーケンス(AIによる分類器など)を開発しているそうだ。
このようなヒアラブルデバイスの市場はウェアラブル系の市場と相違ないと考えており、近い未来には実用的なものとして市場に出てくると期待している。
EarEEGに期待できること
EarEEGに期待出来ることは沢山ある。
五感のいずれかを失った者の代替方法、植物状態の患者と家族等との日常的な意思疎通の可能性、脳波に影響の出る持病を抱えて生活している者が自分自身でモニタリング、眠気やリラックスの有無の把握などなど、あなたやあなたの周りの生活をより向上させる事が期待できるだろう。