ベルギーのノートルダム大聖堂といえばフランダースの犬を連想する方が多いかもしれない。
ノートルダムはフランス語で「我らの貴婦人」を意味する。つまり聖母マリアの事だ。よって、聖母マリアを祀る大聖堂はノートルダム大聖堂と名乗る。
フランスで火災にあったノートルダム大聖堂、フランダースの犬の舞台となったベルギーのノートルダム大聖堂、そして、今回はベルギーのブルージュにあるノートルダム大聖堂が主役だ。
中世の地下納骨室が次々と発掘
ベルギーの西フランダース地方にあるブルージュのノートルダム大聖堂で行われた発掘調査で、中世の物と思われる地下納骨室が発掘された。周囲にも50体もの遺体が見つかり、集団墓地となっている。
ブルージュのノートルダム大聖堂は世界遺産の一部にもなっている歴史的建造物だ。ミケランジェロの作品である「聖母子像」があるが、同氏の彫刻作品がイタリア国外にあるのは非常に珍しく、ブルージュの宝としても名高い。
今年5月に2つ発掘されており、今回で3つ目となる。この納骨堂は地下ポンプ場の建設を行う工事の際に発掘された。
この発見は、発掘を管理しているBAAC Vlaanderenのコンサルタント会社と共同体間の考古学サービスRaakvlakによって発表された。
突貫工事で作られた装飾
1つ目に見つかった地下納骨室の壁面には非常に鮮やかな装飾が施されていた。この度発掘された納骨堂にも同様の装飾が施されている。この当時は死後24時間以内に遺体を埋葬するのが一般的であった。
煉瓦職人、石工、左官、ペンキ職人などが24時間以内に突貫工事的に地下納骨堂を作り埋葬する。そのため、保管庫の壁に塗られた石灰石膏が適切に乾燥していなかった形跡が見られる。
これらの特徴や宗教的なイメージ、画法などから、14世紀後半のものと考えられている。
地下納骨堂の3Dモデル
今回発掘された地下納骨室の3Dモデルが提供されている。マウスなどで全体を見て回れるのでぜひ動かしてみて欲しい。
花と十字架のモチーフの中で2人の天使が香炉を振っており、箱の短辺(頭の部分)には、十字架にかけられたキリストの傍らに聖母マリアとヨハネが描かれている。
さらに、その反対側には「上智の座(Wikipedia:英)」が描かれている。上智の座は、子供のイエスを腕に抱えて王位に座す様を描いた神の母マリアを指すもので、聖母マリアの献身的称号の一つとされている。
上智の智は「知恵」を意味し、知恵とはキリストを意味するのだそう。(以下参照)
つまり、マリアの上に知恵であるキリストが乗っている構図をキリスト教の解釈は「上智」としている。
ノートルダム大聖堂は聖母マリアの為の教会ゆえに、本教会の地下に眠る納骨室にはこのような壁画が施されたのかもしれない。