「窓辺で手紙を読む女」は、オランダの画家ヨハネス・フェルメールが1657年から1659年に描いたとされる絵画だ。ドレスデンのアルテ・マイスター絵画館が所蔵している。
の作品は長い間、描いた画家が特定されず、当初はレンブラントやピーテル・デ・ホーホの作品ではないかと推測されていたが、1880年になってからフェルメールの作品であると特定。
第二次世界大戦後、一時的ではあるがソ連が接収していた。そんな「窓辺で手紙を読む女」の背景には何もない壁が描かれていた。
この壁に隠されたもう一つの絵が見つかったのが1979年。マイスター絵画館がX線で「窓辺で手紙を読む女」を調査して判明した。
キューピッドの絵が隠されていた
X線では何もないように見える壁の裏側にキューピッドの絵が隠されているのが分かった。
何者かによって上から壁の絵で塗り潰されていたのだ。
発見当初はフェルメールが自身で構図変更のため塗りつぶしたと考えられていたが、保存修復師が、赤外線反射撮影、顕微鏡分析、蛍光X線検査などの最新技術を駆使してこの絵を調査した結果、この塗りつぶしは少なくともフェルメールの死後数十年経ってから足された事が分かり、絵を完全なものにすべく修復プロジェクトが立ち上がった。
マイスター絵画館を管理するステファン・コジャ館長は、今回の修復する事でオランダ黄金時代(Wikipedia)の絵画のテーマに大きな影響を与えると発表した。
調査結果を顧みて2017年に絵を非公開にし、修復プロジェクトが始められた。4年を経てその修復作業が完了、2021年秋に一般公開となる。
隠されていた「絵の中のキューピッドの絵」
「窓辺で手紙を読む女」にはキューピッドの絵が隠されているのがX線で分かった。
これは同じくフェルメールの作品である「ヴァージナルの前に立つ女」と非常によく似た構図で、キューピッドの絵が描かれている。
また、はっきりとは見えないが「中断された音楽の稽古」にも同様にキューピッドらしき絵が飾られている。
この双方の絵に描かれているキューピッドの絵はタッチは異なるものの、構図は非常に似ており、弓を右手に手に持ち、左手は挙げられている。良く見れば、窓の形も非常に似ている。
一般公開は2021年9月10日、日本での公開は2022年1月
修復された真の「窓辺で手紙を読む女」は、9月10日から開催される展覧会「Johannes Vermeer: On Reflection(ヨハネスフェルメール:反射について)」展のハイライトとなる。
「窓辺で手紙を読む女」以外にも前述した「ヴァージナルの前に立つ女」も合わせての展示となる。
コロナ禍で日本から見に行くのは難しいかもしれないが、この修復作業は日本の財団からも支援金が出されており、2022年1月22日(土)〜4月3日(日)に東京都美術館の展覧会で公開される予定で、更にその後で北海道、大阪、宮城と巡回する。
日本の展覧会、「フェルメールと17世紀オランダ絵画展」の詳細は以下で確認出来る。