宇宙
木星の月、エウロパで持続的に水蒸気が発生していた。

NASAが木星の月「エウロパ」で水蒸気が持続的に発生しているのを確認。

地球の衛星に月があるように、他の星にも衛星は存在する。例えば火星にはフォボスとダイモスといった2つの衛星があるし、環を持つ土星に至っては80以上の衛星が確認されている。

勿論衛星を持たない太陽系惑星もある。水星は太陽から近すぎて衛星が存在できず、金星にも衛星は確認されていない。

そして木星には地球と同じように月がある。ガリレオ衛星と呼ばれ、イオ、エウロパ、ガニメデ、カリストの4つ存在している。そのうちの一つ、木星の第二衛星であるエウロパ。

エウロパ (衛星) - Wikipedia

エウロパは表面が若く滑らかであることから、地下には内部海が存在するという仮説が提唱されており、その海に地球外生命が存在する可能性についても議論されているが、この度、NASAがハップル望遠鏡でエウロパに持続的に水蒸気が発生しているのを確認したという。

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持続的に発生している水蒸気を発見。但し・・

エウロパで持続した水蒸気が発見されたが・・(出典:Wikipedia


NASAのハッブル宇宙望遠鏡がエウロパを観測した結果、持続的な水蒸気の存在が明らかになった。ただし、不思議なことに片側の半球にしか存在しない。

エウロパは太陽から8億km離れている。この環境で生命を維持できるかどうかを探るプロジェクト「JUICE – JUpiter ICy moons Explorer」の打ち上げが2022年に迫る中で、この発見は基礎を築く有益なものとなりそうだ。

今回の発見は、スウェーデン王立工科大学(KTH)宇宙・プラズマ物理学部門のロス氏が、木星の衛星「ガニメデ」の大気中の水蒸気を発見した手法を用いて、ハッブルのアーカイブ画像とスペクトルを新たに解析したことによるものである。この結果は「Geophysical Research Letters」誌に掲載されている。

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水蒸気の発見


エウロパの水蒸気の発見は初めてではない。2013年にハッブルが撮影したエウロパの水蒸気は氷を突き破って噴出するもので間欠泉に似ており、高さが100m近くにも達する。

この噴き出す間欠泉のようなものは、地球の表面気圧の10億分の1しかないエウロパの大気中で、一時的ではあるものの、水蒸気を発生させる。

しかし今回の観測で、より広い範囲に同じような量の水蒸気が広がっていることがわかった。奇妙な事にエウロパの半球にのみ長期にわたって存在しているが、両半球の非対称性の原因はよくわかっていない。

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ガニメデとエウロパを比較

木星の4の星。左からイオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト。


エウロパの表面温度はガニメデよりも低いため、エウロパで安定した水の存在が検出されたことは、ガニメデに比べて少し意外だったとロス氏は語る。

エウロパはガニメデよりも多くの太陽光を反射し、表面はガニメデよりも15℃低い。エウロパの日中の最高気温は-126℃という極寒の地である。

しかし、今回の観測では、エウロパの表面でもガニメデと同様に、水の氷が昇華していることが確認できた。つまり、液体の段階をスキップして固体から蒸気に直接変化している事になる。

2022年には前述したように2029年まで木星システムを調査するJUICEプロジェクトの打ち上げが予定されている。今回の発見がJUICEプロジェクトに貢献し、大きな発見を持ち帰ってくれることを願うばかりだ。

エウロパを含む木星やその衛星は市販の望遠鏡でも十分観測可能だ。ぜひ見てみよう。

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参考文献

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Amet

旅行が趣味の団塊ジュニア世代。旅先で歴史を学んだり遺跡を見学したりその土地の食べ物を楽しむ事をライフワークにしています。本業はテクノロジー/マーケティング関係で情報収集と分析が専門です。

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