キーザディ(キーラディ)発掘現場(Wikipedia)は、 インド考古学調査局とタミル・ナードゥ州考古学局によって発掘されているサンガム時代の遺跡だ。
同州にとって、キーザディ発掘はアディチャナルール遺跡に続く大規模な発掘調査で、この度そんなキーザディ発掘現場から2200年以上前の短剣が見つかった。
およそ2,500年から2,200年前のものか
この短剣は鉄製で2,500年から2,200年前のものと思われる。同じ場所で出土した25個の骨壷のうちの1つである骨壷の中の人骨の隣で発見された。
短剣の刃は、木製の柄の残骸に取り付けられたままで、柄は完全に無傷で、非常に良好な状態だ。つまり、放射性炭素年代測定が可能になり、より正確な年代を測定する事が出来る。
この短剣だけでなく、周囲の埋蔵品も同年代のものである事が想定されるため、この短剣の発見、というか無傷で見つかった木製の柄の発見は科学者達にとって有益なものだと言える。
戦闘に使われたもの
短剣は行事や政治などに使われたものではなく、実際の戦闘用の武器として利用された可能性が高い。
キーラディダガーと称されたこの鉄製短剣の刃渡りは40cmほどで、骨壺の中で人間の大腿骨と頭蓋骨と共に発見された。スタイルは地域固有のものではあるものの、紀元前6世紀頃から紀元前3世紀頃までのサンガム時代のタミル・ナードゥ州の戦士が使用していた武器に似ている。
この時代はタミル語を話す人が王国を作り、政権を維持していた南インドの歴史の中でも特に輝かしいタミラカムの時代であり、戦闘能力や文明の高さがうかがえる。
高度な文明
タミラカムは単一の王朝によって運営されるのではなく、パンディア、チョーラ、チェーラ王国のそれぞれ3人によって統治・支配されていた。
この時代では高い識字率と複雑な政治情勢が確認されており、高度な文明であった事が分かっている。
キーザディ発掘現場では本短剣の他に装飾品や工芸品、コインやボードゲームなども出土しており、中にはタミル語、ブラーフ語など当時南インド全域で使われていた言語が刻印されていた為、高い技術力や交易などが高度な都市文明であった事を裏付けている。
従来の理論では、紀元前1千年紀のインドの都市文明は、インド北部のガンジス渓谷地域でのみ発展したと主張されていたが、キーザディの発掘調査により、高度な都市文明を示す大量の証拠が見つかった事で、従来の理論が覆った形になる。
北インドとの関係性はまだ不明だが、今後数年の研究で明らかになるかもしれない。