人類は基本的には現在生態系の頂点にある。だが、知っての通り天敵が存在する。それがウイルスや細菌などの感染症だ。
人類は常に感染症の脅威にさらされている。知っての通り2021年11月現在も世界はCovid-19のパンデミックの最中にあり、現在もワクチンやマスク、ソーシャルディスタンス、消毒などといった方法でウイルスに負けないよう対応している。
だが、ウイルスや細菌は常に1つではない。様々な種類の個性的なウイルスや細菌は常に我々のそばに存在し、いつでも猛威を振るう準備が出来ている。
Covid-19の陰に潜む隠れパンデミック
前述通り、現在世界はCovid-19によるパンデミックの対応に多くの医療を始めとする様々なリソースを費やしている。
ところが、専門家の間で「隠れパンデミックでは」と危惧されるものがある。それが抗生物質耐性感染症だ。
英国保健安全局の責任者であるスーザン・ホプキンス博士はCovid-19が終息する頃には抗生物質耐性感染症のパンデミックが可視化される可能性があると警告し、国が一つの危機から次の危機へと移行しないことが重要であると訴えた。
抗生物質耐性感染症とは
抗生物質耐性感染症とはその名の通り抗生物質に耐性のある菌によって発症する感染症だ。数年前から危惧されており、WHOを始め行政機関からも警告されてきた。
抗生物質耐性菌は、テロや地球温暖化と同様に大きな脅威と考えられており、毎年70万人もの人々が命を落としているが、今後の数十年の間に更に大きな問題になる可能性があると懸念されている。
Covid-19がワクチンで大きな対処効果を得たように、ウイルスや細菌に人類が対処するのは基本的には薬学だ。過去に脅威だった感染症も薬学の向上によって抑えられている。
抗生物質もその1つで、現在も人類を守っているが、その肝心の抗生物質が効かない菌が近年出現し、今も対処方法が確立されずに徐々に広がりを見せている。
抗生物質耐性に対応するには
抗生物質耐性菌は基本的には抗生物質の乱用が原因とされている。以下に厚生労働省の抗生物質への耐性についてのファクトシートを引用する。
抗生物質への耐性は、世界のどの地域も危険なレベルに達しています。新たな耐性メカニズムが出現し、世界中に拡がり、通常の感染症の治療への対応能力に脅威を与えています。肺炎、結核、血液での中毒、淋病、食中毒といった一連の増え続ける感染症は、治療の際に抗生物質が効きにくくなることで、治療が難しくなり、時には治療できなくさせています。
抗生物質が、(規制)処方されることなく、人や動物に使用されていることで、耐性の出現と拡大が益々酷くなっています。また、基本的な治療ガイドラインのない国では、抗生物質が医療者と獣医師によって余分に処方され、国全体で過剰に使用されています。
早急に取り組まなければ、我々は、抗生物質の効かない時代に向かいます。その時代では、通常の感染症や些細な傷でも簡単に生命を落とすこともあり得ます。
抗生物質は、腎不全を引き起こすような大腸菌等、危険な細菌を攻撃する事で感染を防ぐ働きがあるが、抗生物質を頻繁に使用すると、細菌が耐性を持ち、治療が無駄になってしまう。
また、誤った量を服用したり、低濃度の抗生物質にさらされたりする事でも細菌は耐性を持つようになる。
現状の最適解は抗生物質に依存しない事
感染症による死亡を防ぐのに抗生物質は必要不可欠だ。だが、抗生物質に依存すると抗生物質が効かなくなってしまう。
2021年の抗生物質耐性菌の報告は前年に比べ下がっている。これはCovid-19に抵抗する事で結果的に防疫できたに過ぎない。
大事なのは平時に免疫力を高める食事をとる、定期的な運動をする、Covid-19が終息しても感染予防を続ける事だ。